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Heven or Hell??



「アスラン!アスラン!なぁ・・・いいだろ?」
「だーめーだ」




・・・・もうこのやりとりを何回繰り返したのだろうか。
たかが飴1つを巡って、既に1時間は経とうとしている。
パソコンで仕事を片付けているアスランの周りを、カガリは駄々をこねるように、ぴょんぴょんと跳ね回っていた。




「で、でも飴の1つぐらい平気じゃないか!」
「・・・・普通ならな。
 ただ、お前は今医者から止められているだろう?虫歯になりかけている歯があるって」




そうなのだ。
先日の定期検診の際に、健康が何よりの自慢とされるカガリに、要注意とみなされた歯が見つかった。
カガリからしてみれば、要注意で済んだだけでホッとするとこでも、アスランやマーナを始めとする"保護者組"からしてみれば、一大事。
カガリは渋々治療と平行して、甘い物等は控えることを医者と約束させられたのだった。
・・・・・・が。
元来甘いもの好きのカガリにとっては、辛いもの以外の何者でもない。
あれから1週間、何度も挫けそうになったものの、その度にアスランがなだめ、励ましていた。
しかしそれも限界に来たのか、今までカガリが所有していたお菓子をアスランが管理してると分かった途端、これである。




「大体、オーブの国家元首である君が、そんなことぐらいでワガママ言ってたら、先が思いやられるばかりだぞ」
「そ、それとこれとじゃ話が違う!」
「違わないさ。君という存在がオーブそのものなんだ、分かるだろ?」




本当は飴の1つぐらいあげたいさ、君のためなら。
そんな本心を隠しつつ、あえて厳しい口調でカガリを説得する。
カガリのため・・・・それはここで甘やかさないこと。
ならば、どんなにカガリのご機嫌が損なわれようと、ここは貫き通すのが自分の役目というものだ。



「でもっ・・・・・!」
「何度言っても、だーめーだ」



俺の気持ちも分かってくれ・・・・、そう言い掛けた時だった。






「ア、アスランなんか大っ嫌いだー!!!」



眩しい瞳にうっすらと涙を浮かばせながら、カガリはそのまま部屋を飛び出してしまった。
アスランが追いかけようとした時には、既に廊下にすら姿が見えない。
やれやれ・・・カガリのワガママには困ったものだ。
そうため息をつきながら、またPCの画面に向かう・・・。

・・・・いや、向かおうとした。
が、心の中はぽっかりとジェネシスに撃たれたような、どでかい穴が開いている。
カガリのためなら、カガリのためなら、カガリのためなら・・・・・・・・・。
そう心に誓ったはずなのに・・・・・。
でも・・・・・・・・・・・・






「さすがに答えたな、アレは」


苦笑いにもならない、複雑な笑み。
ザフトの軍人時代には、ちょっとやそっとの暴言等、何てことなかったのに。
これも惚れた弱み・・というやつなのか。








と、しばらくして、先程カガリによって勢いよく閉まったはずのドアが、きぃ・・と静かな音を立てて開いた。
見ると、カガリがこちらの様子を伺うように、ひょこっと顔だけ出している。



「カガリ・・・・?」
「えっ、あ・・・・・・」



こちらに気付かれたと分かった途端、びくんと反応すると、
しっぽをさげた子犬のような顔をして部屋に入ってきた。



「あ、あのさ・・・・さっき行ってきたんだ、医務室に」
「それで?」
「そしたら言われたんだ、もう大丈夫です、よく我慢しましたねって。・・・・だから・・・・・
 アスランに言いに来たんだ、その・・・ゴメンとありがとうって」




おずおずと顔をあげると、その瞳は再び潤みだしていた。
よっぽどの想いで、この部屋に戻ってきたのだろう。
そんな姿にたまらなくなり、アスランは無意識の内に椅子から離れ、カガリを引き寄せる。
あっ、と戸惑ったカガリの声は、すぐにアスランの胸に引き寄せられて消こえなくなってしまった。




「・・・・・良かったな、歯が治って」
「・・・・・うん、ありがとう」




にぱっと、向日葵が咲いたように笑うカガリに、アスランは一気に心臓が跳ね上がったことに気がついた。
そして少しカガリを体から離すと、その手をカガリの頬にそっと寄せる。
一瞬、何かに気がついたのか、ぱっと顔を赤らめるカガリだが、少ししてぎこちなくその目を閉じた。
それに合わせるように、アスランもゆっくり顔をカガリへと近付ける。








・・・・と、



「だ、ダメだ!今は!!!/////」
「・・・え゛?」
「わ、私はまだきちんと虫歯治ったか分からないから・・・そしたらアスランにも虫歯が移るかもしれないから・・・だから!///」




どん、とアスランを押し返すと、カガリは勢いよくその場を離れた。
寸での所で止められたアスランにしてみれば、これ程の地獄を味合わされることはない。
そんな彼に気を止めつつも、顔を更に真っ赤にしたカガリは理由だけ言って、再び部屋から出ていってしまった。
・・・・・先程までのあの、甘い匂いはなんだったのだろうか・・・・。
がくっと肩を落とすも、カガリらしいその行動に何だか笑ってしまう。
泣いて、走って、笑って、また走って・・・・・。
そんな忙しい彼女をこの手で抱けただけでも、アスランの心は随分と穏やかになった。
天国だなんて、そんな大袈裟なものじゃないけど。
それでも、カガリのお陰で今の自分、今の気持ちを持てるようになったのには変わり無い。




・・・・むしろ、心配事と言えば、最近妹っ子のキラである。
カガリと自分との関係に気付いてからは、以前にも増して監視を強めているらしい。
そんな彼に、捕まりさえしなければ自分は・・・・・。










「アスラン、ちょっとこっちに来てもらっていい?」





---------------------アスランの地獄は、まだ終わりそうになかった












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*管理人コメント*
初めて書いたアスカガSSに、私自身「笑うしかねぇー!」って感じでした(爆)
やっぱりへたれなアスランといつも忙しそうなカガリたんが好きみたいですv
・・・・もしかしたら1番好きなのは黒いキラ様かもですけど・・(笑)
そして「Last quarter」管理人朔夜さんに戴いたこの挿絵!
めーちゃーくーちゃーカッコイイ!&可愛いvv
お祝い小説として私が献上したはずなのに、これじゃどっちがお祝いされたのか分からない!
ってぐらい、素敵なイラストに胸キュンです。
朔夜さん、本当にありがとうございました(^^)