修行とアイツと



ある日、突然
家に変な親子がやってきた
初めて見た時は女の子とパンダという、なんとも異色コンビ
数時間後、いつのまにか居間でお父さんと泣きながらお酒を飲んでいた、一風変わったおじさん
そして・・・・風呂場で私の裸を見た、おさげ髪の痴漢男
考えてみえれば・・・・ううん、考えてみなくても絶対おかしな出会い方よね、私達
お陰で、それまでの私の平凡な日常が180℃変わってしまった
家でも学校でも、なにかと「許婚」と周りがはやしたてて・・・・・
まったく、いい迷惑だわ!
あ、あたしにだって心に決めた人がちゃんといるんだから・・・///
そりゃあ、望みなんてこれっぽっちもないけど。。
でも所詮、アイツと私は「ただの居候」っていう関係なんだから!
これ以上、周りに変な誤解をされないためにも、いつかあいつとの関係に決着付けてやる!!
そう活き込んだ私は、いつになるか分からない決着のために、一層の修行を積むことをその日、決意した







次の日の朝
いつもより30分程早く起きて、さっとトレーニング用のジャージに着替える
たった30分早いだけなのに、いつになく家の中は静かだった
・・・・・こんな時間だもん、誰も起きてる訳ないわよね
なるべく音を出さないようにしながら、私はそろりそろりと家を出た
朝らしい独特の空気
その中をひたすら・・・ただひたすらまっすぐに走る
頭の中は常に真っ白状態
どんなに嫌なことも、この朝のマラソンだけは忘れさせてくれる
もちろん、あんな奴のことなんかこれっぽっちも思い出してやらなかった
そして町内を一通り走り終えると、お次はストレス発散にもなく瓦割
これがまたたまらないのよね♪
物置から一通りのセットを出し、まさに割ろうとした・・・・・その時だった







"ドカっ"





「え?」





聞き慣れない音に耳を傾けると、それは確かに何かに向かって打撃をいれている音だった
・・・・・・・・でも一体こんな時間に誰が?
私は急いで音がする方に向かって走った





来てみると、そこは丁度うちの道場の手前に位置する場所
私以外の誰が一体・・・・・・
まぁいいわ、どこの誰だか知らないけど、不法侵入でとっ捕まえてやる!
ぐっと息を呑みながら、ゆっくり・・・ゆっくり顔を壁から覗かせる
3秒、2秒、1秒・・・・・・・さ、顔を拝ませてもら・・・・・・・





「・・・・・・あ・・・・・・・・」





一瞬、再び息を呑んでしまった
自分でも今、声を出したのか出さなかったのか分からない
そう、あれは紛れもなくアイツ
ちょっと乱れたおさげ髪に、私と同じ胴衣

・・・・・・・いつになく汗をかいてて・・・・・・・でも目はどこかまっすぐ向いている
技のキレの良さも、早さも、センスも人並みじゃない
正直、女の子の時に手合わせした時は「やるな」って思ったぐらいだけど、まさかここまでやるとは思ってもみなかった
もしかしたらコイツ・・・・・本気でやれば、あの東風先生とちょっとした勝負になるかもしれない
"ドカっ"と打撃音が1つするたびに、私の体も一緒になってびくっと反応する





ドキン



ドキンドキン





「・・・・・っ?!////」



や、やだ。今の何?
気のせいかな、顔も熱くなってきちゃった
・・・・・・・・私なんでこんなにドキドキしてるの?/////
あんな・・・あんな奴のためにそんなことする必要ないじゃない!
そう、アイツはただの居候なんだから・・・・・



「今日はもう、瓦割やめとこ」



ぼそっとつぶやくと、私はそのまま部屋へと戻った
でも・・・・・・・なんでかな
明日また、今日と同じ時間に起きようって・・・・・そう思えた
まだ少し心臓が大きく鼓動してるけど、きっとこれは明日のトレーニングが楽しみだからかもしれない






"明日は・・・タオルの1枚、渡してやるか"


そう思うと、またちょっぴり不思議なドキドキ感と楽しみと思う気持ちが強くなっていった




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*管理人コメント*
「夢のしずく」管理人鈴村佳奈さんに、相互記念と1周年祝いに献上しました。
書き始めたのが深夜2時。
書き終えたのが深夜2時40分。
深夜にも係らず、内容がブラックなものにならなかった上(危)いつもより仕上がったのがすごい早かった;
やっぱり私、夜型なんでしょうかね(><)
・・・・ってめっちゃ作品に関係ない話で申し訳ないです;;
佳奈さん、1周年おめでとうございました!