「ふっ、我ながらいい男だぜ」





お決まりのポーズで、決める俺

うん、やっぱりかっこいい

こんなにいい男、この世界のどこを探してもいるはずがねぇ

そう鏡の前で自分の顔を研究していると、いつものようにイボイノシシみてぇな声が聞こえてきた





「乱馬!何ですか!1人でにやにやして!」





ばっと振り返ってみると・・・・・・

いたのはやっぱりコイツ

ったく・・・・この俺が何度も引っかかるかってーの

そんな俺の気なんて知らねぇで、嬉しそうにしやがって

挙句の果てに





「似てたでしょ?おば様の声色」





・・・・なんて言いやがって

だから似てねぇってーの!

大体なぁ、俺がいつにやにやしてたっつんだよ

あんなかっこいい俺の顔のどこに、そんな言葉が出てくるのか分かりゃしねぇ

それよりも、おめぇのイボイノシシみてぇな声の方が問題じゃねぇか?

そう言うと、今度は急にぷっと顔を膨らませて、睨んできやがった

おーおー、こりゃそんじょそこらの風船よりもよく膨らんでるぜ

ばたばたと追っかけてくるあかねを横目に、そんなことを考えながら俺は笑った

と、





「そんなに鏡が好きなら、あんたの誕生日にこーんな大きい鏡をくれてやるわよ!」





いつ取ってきたのか、今度はでっかい箒をぶんぶん振り回しながら追っかけてくる

こうなりゃ俺だって本気で逃げるしかねぇ

あかねの攻撃をひょいひょいとかわし、そのまま塀を飛び越えた









「ふーっ、危ねぇ危ねぇ」



結構いい運動になったのか、額についた汗を腕でぬぐいながら、俺はあかねが来ないことを確認した

ここまで来ればさすがにアイツだって来ねぇよな

っしゃ、いっちょ暇つぶしに猫飯店か右っちゃんとこにでも行ってみっかな

何となく天道家の門が気になったけど、無理やりそいつを頭からどかして俺は歩き始めようとした

すると突然



"グイっ"



袖を思いっきり引っ張られ、同時に体がぐらっと揺れる

そのまま後ろを向くと、ニンマリと笑うあかねが立っていた





「逃げ様ったってそうはいかないんだから」





ふふん、と自慢めいたものを混ぜながら意地悪くコイツには、腹が立つよりも驚きの方がでかかった

だって、いつもならここまで追いかけてこねぇだろ?

なのになんで・・・・・





「何でここまで追いかけてきたか・・・・って聞きたいんでしょ?」

「え?」





・・・・・・・・コイツ、なんで俺が思ったことそのまま当てやがったんだ?!

お、俺ってそんなに顔に出るタイプだったってことかよ

変な汗をかきはじめた俺をよそに、あかねはやれやれとため息混じりに話を進める





「大体あんたみたいな単純な奴の行動パターンなんて、たかが知れてるわよ」

「な゛、なんだよそれ・・・・」

「どうせ今から猫飯店か右京のとこにでも行こうとしてたんじゃないの?」





"ギクっ"





こ、こいつ、何者だ?

正直ここまで見透かされてるとは思わなかった

それともこれが女の勘ってやつなのか?

しかも、俺の反応を伺うようにじーっとまっすぐ見てきやがって・・・・

心臓もすげぇドキドキいってて、いつ口から出てくるか分かったもんじゃねぇ

いや、でもこの状況はマズイだろ?

そう、何か・・・・何か言わねぇと・・・・・・///





「あ、あのさ・・・・・・・」

「え?」

「いや、何でもねぇ・・・・」





・・・・・・・・・・・・・・・・・・って!

今の俺めちゃくちゃかっこ悪ぃじゃねぇか!

お陰で余計コイツの顔をまともに見られなくなっちまったしよー・・・・

でも一体どうす・・・・・・





"ぷっ"





"え?"







はっと顔を上げると、あかねが腹をかかえて笑ってるのが見えた

ちょ、ちょっと待てよ。俺今何かおもしれぇこと言ったか?

いや、確かに変な顔はしてたかもしれねぇけど、それはだな・・・・・

再び俺があたふた焦っていると、あかねの笑いは更にひどくなる





「・・・・あははっ、だって乱馬・・・そんなに動揺してるんだもん。よっぽど図星だったんだ?」

「そ、そんなんじゃねーよ!////」





・・・なんて言ってみるけど、あかねにばれてるのは百も承知

だってこんなに笑ってんだぜ?

今のコイツに何言ったって、俺の言い訳が通じるはずねぇ

そしたら俺に残された道は強がることしかねぇーんだからさ

・・・・きっとコイツは・・・・あかねはそんな俺の部分まで見えてるんだろうな





「ねぇ、もう家入らない?」

「え?・・・・あぁ・・・・おめぇがどうしてもって言うんだったらな!」

「何よそれー!別にあんたはこのまま残って、ここ掃除してもいいのよ?箒もあることだし」

「けっ、やなこったー」









わざとからかうように舌を出すと、同時にあかねの持っていた箒が俺めがけて飛んでくる

再びそれを交わすと、俺はまた塀を飛び越え、そそくさと逃げた

あかねが怒りながら俺の名前を呼んだ気もしたけど、今はそれどころじゃねぇんだよ

いつもなら買ってやる喧嘩だけど、今日はそうもいかねぇ

だってさ・・・・・

まるで俺の心に映った鏡を見ているあかねに勝てるはずがねぇんだから

今はまだ

本当の・・・・俺の本当の気持ちをアイツだけには見らないように・・・・・しなくちゃな・・・・・






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*管理人コメント*
70000hitのニアピン賞をゲットしてくださったコメットさんに献上しましたーvv
久々の乱馬君視点に終始ドキドキ;;
乱馬らしいセリフを一生懸命考えながら作りました。
あかねちゃんってたまに勘するどい時ありません?
・・・・え?ない?
・・・・・・・・・・・・・。
あーっはっは!もう笑っとけ笑っとけ(笑+涙)
コメットさん、ニアピン賞ゲットおめでとうございましたv