ライバル







乱馬は道場で1人、寝転びながらある事を考え込んでいた。



「あかねのバカ野郎〜っ・・・・・」






学校の休み時間、あかねはさゆり、ゆかといつものように教室で話していた。
そして、そのすぐ後ろでは乱馬、ひろし達がトランプをしている。
それを知って知らずか、さゆりとゆかはある質問をあかねにぶつけてみた。


「ね、あかね♪ほんとのところあんたの好きなタイプってどういう人なのよっっ」
「ほーら!この際さっさと吐いちゃいなさいっ♪」
「そ、そんな急に言われても・・・・・/////」



((ま、大体答えは分かるけどね〜♪))


ちらっと視線をずらすさゆりとゆか。
その視線の先には、顔を赤くしながらひろし達にからかわれてる乱馬がいた。


「で、どうなのよ♪」


2人は目を輝かせながらその答えを待った。
が、あかねの答えはというと、見事にその期待を裏切るものとなる。


「う〜ん・・・・・あ!!やっぱりPちゃんかな〜/////」
「「・・・・・・は?!」」
「だから!ペットのPちゃん♪」


あかねは満面の笑顔で答えた。

「いや、それは分かるんだけどっ・・・・・」
「あ、あれブタ・・・・よね・・?!」

予想外の答えにただただ唖然とするしかなさゆりとゆかに対して、あかねはさらっと、さも当たり前のように答える。


「確かにそうだけど、男の子としては立派なのよ?!・・・小さいのに何かがあるとすぐ来て守ろうとしてくれるし、それに夜一緒に寝てくれるし♪
Pちゃんが本当に人間の男の人だったら私、きっと好きになってたわよ♪」



一方乱馬と言うと、Pちゃんの本当の姿を知っていただけにショックを隠せなかった
・・・・・と言っても強がって「誰があんな可愛くねぇ女なんかに・・・」や「だったらP助と許婚になりゃいいじゃねぇかっ」などと、ひろし達に漏らしていたのだが、ひろし達も乱馬との付き合いも長くなってきたので、そこはあえて突っ込まず、流してやっていた。


-------くぞー!!!あ゛がね゛のバカ野朗〜!!!!!!






で、夕方になって家に帰った後も、そのことが頭から離れないため、今に至るのである。

-----だったらあいつの好きなタイプは良牙ってことかよっ・・・・・冗談じゃねぇ!!


頭をくしゃくしゃにかきながら、1人じたばたしている乱馬。
そんな彼に今1番会いたいけど、会いたくない人が現れた。


「・・・なにしてんの、あんた」
「げっ・・・あかね・・・・」


その名の通りあかねだった。
どうらや今帰ってきたらしい。


「「げっ」とはなによっ「げっ」とはっ・・・・・ところで、乱馬1人でそんなにじたばたしてどうしたの?」


怪訝そうに乱馬を見るあかね。
最も、彼女が怪しむのも当然と言ったら当然なのだが。


「べ、別になんでもねぇーよっ・・・・お、おめぇに関係ねぇだろっ」
「ま、それもそうね。んじゃあ・・・・・・・」
「あ、ちょ、ちょ待てよっ」
「え?」
「あ゛・・・・・・・・」


乱馬は自分の思わぬ行動に、無意識の内に口を手で塞いでしまった。


「んもうっ、話があるんだったら聞くけど、ないんだったら部屋戻るわよ?」
「わ、分ぁ〜ったよ・・・。お、おめぇの好きなタイプって良牙だったんだなっ」
「は?なにそれ・・・・・・ってあんた昼間の私達の話盗み聞きしてたの?!」
「ち、違ぇーよっ/////ただ聞こえちまっただけでぃ!////」
「ふ〜ん・・・・で、良牙君がなによっ」
「だってお前昼間そう言ってたじゃねぇか・・・・・・」
「だから!良牙君が何で出てくるのよっ!!私が言ってたのはPちゃんでしょ?」
「P助も良牙も変わんねぇーよっ」
「変わるわよっ・・・第一Pちゃんと良牙君、全然関係ないし、その上Pちゃんはブタなのよ?全く違うじゃない」
「それは・・・・」



------------それは良牙がPちゃんで、Pちゃんが良牙で・・・・なんてさすがに言えねぇか・・


乱馬は「はぁ〜」っとため息をつくと、そのまますくっと立ち上がった。


「ちょっと・・・・・・・・・」
「ま、この話はもうやめにしようぜ。俺風呂入ってくっから・・・・」
「な、なんでよ!まだ終わってないじゃない!!」
「だからいいーっつてんだろっ」
「よくない!」
「聞分けがねぇー女だな!いいって・・・・・・!!」


はっと気が付くと、あかねは乱馬の服の袖をひっぱりながらうつむいていた。
床にはポタポタと涙がこぼれ落ちている。


「よく・・・ないってばっ・・・」
「・・・・あかね・・・」
「だって・・・・せっかく乱馬・・・・私のことでこんなに考えてくれるのに、私がそれを分かってあげなきゃダメ・・・・でしょ?・・・だからお願い、ちゃんと最後まで話して」


今にも消えそうな声で必死に訴えてくるあかねに、乱馬は最後までむきになった自分が恥ずかしくなっていた。


「わ、わぁ〜ったよ。話すからもう・・・泣くんじゃねぇぞ?////」


少し照れながらあかねを見下ろす乱馬に、あかねは最後の涙を流しながらにこっと笑いかけた。


「りょ、良牙とP助はこの際もうどーだっていいんだ。ただ・・・・」
「ただ?」
「お、お前の好きなタイプって野郎が・・・・・その、その・・//////俺とまったく正反対の奴で・・//」
「ヤキモチやいたの・・・?」
「ち、違っ////」
「違うの?」
「い、いや・・・・・・そうなんだけど・・・・・/////」


乱馬は恥ずかしさの余り、顔をかきながらそっぽを向いた。
そんな乱馬をきょとんと見ていたあかねだが、同時にぷっと吹きだしてしまった。


「な、なんだよっ////」
「ふふっ、だって乱馬がそんなことでこんなに悩んで、顔赤くするなんて、夢にも思わなかったから♪」
「・・・・/////」
「そうね、確かにあんたはPちゃんとまったく正反対だわ」
「な゛っ・・・」
「ガサツで乱暴、おまけに優しくないし、ヤキモチ妬きで素直じゃない」
「そ、そんなのおめぇだって・・・・・」
「わ、分かってるわよっ///・・・・・・・でもね乱馬、1つだけ一緒なトコがあんたにもあるのよ?」
「え・・・・?」
「私言ったでしょ?Pちゃんのこと「何かがあるとすぐ来て守ろうとしてくれる」って。
 ・・・・これPちゃんの他にも、もう1人いんのよ」
「ま、まさかそれが・・・俺?」
「・・・ほ、他に誰がいんのよっ////」


あかねは顔を赤らめながらぷいっと乱馬から顔をそらした


「それに残念ながらPちゃんは人間じゃないし、好きっていっても所詮はペット!
 そしたら人間の方を好きになるしかない・・・じゃない・・・////」
「ほぉ〜・・・・ってことは俺はオマケってことなんだな?」
「べ、別にそういうつもりじゃ・・・・」
「じゃあ素直に言えよ♪「ほんとわぁ〜乱馬様が1番好きなんですぅ〜」くらい言えねぇか?」


途中、少女マンガのように目をキラキラと輝かせながら、乱馬はあかねをからかった。


「あんたねぇ〜・・・人がせっっっかく真面目にこういう話してんのに・・・・・・」


が、同時にあかねの頭からプチっプチっという音共に怒りマークが出てきた。


「うわっあかねばかっ、冗談だよ冗談っ!なっ、なっ!・・・って!」
「聞く耳持た〜んっっ」



ばこぉんっ


あかねのすさまじいパンチは見事に乱馬の顔にヒットした。
乱馬はと言うと、体全体が道場の壁にめりこんでいる。


「まったくっ、あんたにはデリカシーってもんがないの?!」
「う、うるへーな・・・・おめぇには言われたくねーよ」
「あ、そ。・・・・・やっぱり、私Pちゃんと結婚しよっかなぁ♪」
「な゛、だ、だってさっきおめぇ・・・・」
「ふふっ。ばぁ〜か、本気にしてやんのー♪あんたってほんとヤキモチ妬きねー?」



今度はあかねが乱馬をからかうようにして笑った。


「・・・・可愛くねぇっ////」
「結構ですよーだっ、ま、そんな可愛くない奴に惚れた奴もここにいるけどね♪」
「だ、誰がっ・・・・////」
「くやしかったらPちゃんよりいい男になんなさいよっ、じゃあね♪」
あかねはべーっと舌を出しながら言うと、機嫌良さそうに道場を後にした。


一方取り残された乱馬はなんだか勝負に負けた気がして、すっきりしない気持ちのままだ。




------くそ〜P助ばっかひいきしやがって〜!!!!!
-----------でも・・・・・もしかしたらほんとのライバルはあかね自身、なのかもな。。








その後、そんな思いを胸に乱馬も部屋へと戻っていった。

だが彼に待ちうけているのは、あかねから話を聞いた涙ぐんでいるPちゃんのひっかき傷ということは、まだ誰も知らない。。










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「REAL LOVE BATLLE」の管理人愛子さんに相互記念に差し上げたものですv
やっぱり乱馬のライバル=良牙(Pちゃん)ってイメージがあったのですが、2人の恋に関するとこの2人自身がライバルなのかなーって思って描きました^^
意地っ張りで素直じゃなくて・・・そしてお互いを思い合ってる
はたから見たら羨ましい関係(?)ですが、当の本人達はどこまで気づいているのやら・・・(汗)