夜風に当って
「綺麗・・・・・」
夜空の星達を見上げながら、物思いにふける
すり抜ける冷たい風を感じながら、あかねは屋根の上に登っていた
「・・・・・・・・誰?!」
人の気配を感じたのか、つい構えてしまう
だが、暗闇の中から見えたのは見慣れたおさげ髪
「・・・乱馬?」
「・・・・あかねか?」
月が雲からひょっこりと顔を出すと同時に、乱馬の顔がその穏やかな光に照らされてきた
「何やってんだ?こんな時間にこんなとこで。」
「あ、あんたこそ何やってんのよっ」
時刻は夜の11時過ぎ
そろそろ街中にも静けさが漂ってくる時間帯だ
お互いまさかこんな時間に、しかも屋根で会うとは思ってもみなく、ただただ戸惑ってしまう
やがて少しの沈黙から乱馬がぎこちなく口を開いた
「お、女がこんな時間に外に出てるなんて危ねぇぞ!」
「何よ、もしかして心配してくれてんの?」
「・・・・・・・・・・・・・・俺がおめぇの心配しちゃ悪ぃってのかよ/////」
「・・・え?」
予想もしなかった乱馬の素直な言葉
ためらいも感じられないほどに・・・まるでまっすぐ向かってくるような言葉
あかねは返す言葉がなかなか見つからなかった
そんなあかねの様子に乱馬も気付く
「な、なんだよ、人の顔じろじろ見やがって・・・・・」
「だ、だって・・・・なんか・・乱馬らしくないから・・・////」
その言葉に何故か乱馬がぴくっと反応する
「・・・・・ふーん。例えばどこら辺が?」
「え?だ、だからいつもなら喧嘩になるとこなのに、なんか・・・素直だったなって///」
照れ隠しをするように、わざと視線をそらすあかね
その頬は少し赤みがかかっていた
「バーカ。おめぇが人一倍素直じゃねぇだけだろ。ちっとは俺でも見習えってんだ」
からかうように、あかねを横目で見ながら言うと、乱馬は更に意地悪く笑う
あかねはあかねで更に顔を赤くさせながら、
「あ、あのねぇ!あんだだっていつも素直じゃないし、すぐやきもち妬くし、鈍感だし・・・・!
どーせ今日に限ったことよ!」
かっと言い返した
そして最後にふん!と鼻を鳴らし、そっぽを向いて次なる応戦を考える
さぁ次は何?
その言葉そっくりそのまま返すぜ?
おめぇに言われたくねぇよ?
頭の中で様々なパターンを想像しながら、耳を澄まし、乱馬の出方を見る
が、あかねの予想を裏切るように
「・・・・・・・そうだな。今日だけかも」
とだけ言って、ひゅっとあかねの後ろに回りこみ、
あかねの「あ・・・・・」という声をも打ち消す程の早さで、乱馬はそのまますっぽりと後ろからあかねを抱きかかえてしまった
声も出ない程の緊張感
真夏の太陽の下に放り出されたように熱を放つ体
そして乱馬のおさげ髪がたらん、とあかねの肩に静かに触れる
---どきん-----どきん-------
いつになく大きく聞こえる心臓の音は、すぐ耳の側に自分の心臓があるのではとあかねに思わせる程だった
と、
「・・・・お前、隙ありすぎ」
あかねの顔を覗き込むようにして、乱馬が見下ろした
「バ、バカ!///誰だってこんなことされるなんて普通思わないわよ!!////」
今度はあかねが顔を上げ、乱馬に向けぷっと頬を膨らます
「でも・・・・・・嫌じゃないんだろ?暴れねぇってことは」
にっと笑うと、更にぎゅっと腕をきつく締めた
「・・・・・あんたってほんとズルイんだから・・・・・・・・・//」
顔には悔しそうな表情を出しても、体は自然と力を抜いてしまう
観念したように、そのままぽすっと乱馬に体を預けた
夜風だけが2人の間を抜け、星達だけが2人を見つめる
そんな静かな空間が、天道家の屋根に流れていた
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*管理人コメント*
半年以上も溜め込んた小説でした^^;
実はこの先をもっと書こうと思ってたんですけど、どうしても書けなくて。
これはこれでいっかなー・・・と半年経った今、ようやく気付いたのでUPしちゃいました(笑)
私にしては珍しい、イチャイチャバカップル編です。
こういうの・・・もっと書いていきたいなぁ(ぉ)