素直な気持ち





キ―ンコーンカーンコーン・・・・

4限目終了のチャイムが鳴ると、待ってましたとばかりに教室は騒がしくなる。
お待ちかねの昼休み。
それは学生からすれば、1日の中で1番待ち遠しい時間なのかもしれない。
もちろん、それは乱馬達も例外ではなかった。



「よぉっし終わったぁ!・・・おい!昼飯買いに行こうぜ!・・乱馬も行くだろ?」
「おぅ!・・ただ、今日俺弁当忘れちまったからな。あかねに金借りて買いに行くしか・・・」
「とかなんとか言って!ほんとはわざと忘れたんじゃないのかぁ?あかねに借りるために♪」
「ばっ////違うに決まってんだろっ/////」
「いいよなー、乱馬は毎日自分の許婚と朝から夜までず〜っと一緒だもんなぁ♪」
「べ、別に俺は・・・////だ、第一誰があかねみてぇな可愛くねぇ女と一緒にいて嬉しいってんだ!」
「乱馬・・・お前・・・」
「あん?・・・な、なんだよ・・・。」



ひろしが最後の言葉を言いかけたその時

ずしゃっ



「可愛くねぇ女で悪かったわねぇっ!私だってあんたとなんか一緒にいたくないわよっ!」


あかねは乱馬の頭をイスで殴ってやった。
もちろん鈍い音がしたのは言うまでもない。



「乱馬後ろにあかねがいるぞって・・・遅かったか・・・」
「い、痛ってぇ・・・・・な、なにすんだよ!あかね!」
「ふん!あんたが悪いんでしょっ!・・・はいっ!」
「え?」



あかねはすっと乱馬の前に手をだした。
へぇ〜結構いいとこあるじゃん、と思いつつ乱馬はあかねの手を借りて起き上がろうとした、だが・・・。


「は?・・・あんた何勘違いしてんの?私は貸したお金返せって言ってんのよ!」
「な゛、い、いいじゃねぇか!減るもんじゃねぇんだしっ・・・」
「つべこべ言わず返しなさいよっ!私のお金なんだからっ」
「ったくほんとかわい・・・・」



めりめりっ

と、突然壁が盛り上がった。


「「ん゛?!ま、まさか・・・」」
「ニーハオ!乱馬♪」
「シャ、シャンプー・・・・」
「な、なにしにきたのよっ」
「あかねには用ないね!さっ乱馬、私の愛妻弁当一緒に食べるよろし♪」
「ちょ、おい待て!俺は今日ちゃんとパンが・・・」
「ふ、ふん!いいじゃない貰えば!どうせ私は乱馬に貸すつもりなかったし!」
「あかね・・・おめぇまた可愛くねぇヤキモチを・・・・」
「だ、誰があんたみたいな粗忽者にヤキモチなんか妬かないといけないのよっ////自惚れないでよねっ////」
「ほんと可愛くねぇ女だなぁ!!!」
「えぇ、可愛くありませんよーっだ!じゃあ可愛いシャンプーちゃんとごゆっくりっ」


そういうとあかねはぴしゃっとドアを閉めて教室から出ていってしまった。


「あ、あかね・・・・」
「ちょ、ちょっと待ってよ!」


追うようにしてさゆり、ゆかも教室を出て行く。
残された大介、ひろしも、その様子を目で追いつつ、不安気に乱馬を見やった。


「・・・おい、いいのか乱馬?あかね、本気だぞあれは」
「ふ、ふん!俺には関係ねぇーよっ」
「よし、邪魔者消えたな♪乱馬、さっそく2人っきりでお弁当食べるね♪」
「おい、だから俺は・・・」
「パン代・・・・・ないはずだたな?」
「げっ・・・・」
「決まりね♪」


そう言うと、クラスが唖然としているる中、シャンプーは無理やり乱馬を外に連れ出した。






一方あかねはというとさゆり、ゆかと共に校庭の木の下で昼食を取っていた。
もちろん、ご機嫌ななめである。
さゆりとゆかも、さっきのケンカを目の当たりにしていたので、あえてそれについては触れなかった。
・・・・・・・が。



「シャンプー!!!なぜわしを置いていくのじゃ〜!!!」


どこから出てきたのか、ムースが泣きながらあかねに抱きいてきた。
しかし、これまたいつもと同様、抱きつくと同時にあかねの鉄拳をくらわされた。



「ムース!!あんた眼鏡ちゃんとかけなさいよね!」
「む?!その声は天道あかねか?!おぬしなんでここにおる!おらはシャンプーを追いかけてきたのというのに」
「ここは学校よっ」
「して、シャンプーは今どこに?」
「ふん!どうせ、乱馬と仲良くお弁当でも食べてるんでしょっ」


あかねの声のトーンがが一段と重くなる。


「おのれ早乙女乱馬!!!おらのシャンプーを〜!!!!!」



ぶるんぶるんと頭を降りこぶしを握って叫ぶムース。
あかねはやれやれと言った感じで、少し優しめに言った


「ねぇ、ちょっと話しない?」
「ん゛?!」






ー裏庭ー



「なんじゃ天道あかね。おらをこんなとこに呼び出して」
「まぁちょっとぐらいいいじゃない!少し話があるのよ」
「交際ならムリだ」
「誰がいつそんなこと言った!・・ったく九能先輩みたいなこと言わないでよっ」
「だ、だったらなんだというんじゃ」
「ねぇ・・・どうしてあんたって自分の気持ちをそのまま相手にぶつけられるの?」
「どういう意味じゃ?」
「だから、いっつもシャンプーにフラレても毎日めげずに自分の気持ちをぶつけてるじゃない・・・・」
「ふっ、そんなことか」
「な、なによ!」
「やはりお主は頭が悪いの、天道あかね」
「な゛なんですって〜!!!」
「自分の気持ちまで嘘ついてなんになるというんじゃ。そんなことじゃ結果は生まれんじゃろ。それにおらはシャンプーの婿になると心に決めたんじゃ。心に決めたからにはそれを貫かなければなるまい」
「へ、へぇー・・・・」



ムースってこんなに奥まで考えてんだ・・・・・。
あかねは素直にそう思えた。
これが素直な気持ち・・・・・・?



「では天道あかね、おらは店に戻る。シャンプーを見つけたら早く店に戻るよう伝えといてくれ」
「えぇ・・・・あ、ムース・・・」
「ん?」
「あ、ありがと・・・」
「おらは何もしておらんぞ、ではな」


そういうと、ムースは眼鏡をしっかりとかけてさっといなくなってしまった。


「素直な気持ち・・か・・・」







放課後、あかねと乱馬はいつものように2人で帰っていた。
ただ唯一違うのは・・・・・そう、会話がないこと
あれ以来ずっと黙ったままなのだ。
重い空気が二人の間を流れる。
するとあかねからこの重い空気を断ち切るかのように話が切り出された



「ねぇ、乱馬、結局シャンプーと一緒にお弁当食べたの?」
「・・!お、おめぇには関係ねぇだろっ」
「ま、それもそうね。だけど・・・・・これからはあんまり私を焼かせないでよねっ」
「え?」
「だからっこれからは私にあんまりヤキモチを焼かせるなって言ってんのよっ/////」
「・・・・/////」
突然のあかねの発言に乱馬は声が出なかった。
まさかあかねが「ヤキモチを焼く」ことを認めるとは思わなかったからである。



「どうなのよっ////」
「わ、分かったよ!////でも・・・お前もP助とあんまべたべたすんなよなっ//////」
「Pちゃん?あんたPちゃんにヤキモチ焼いてんの?」
「ば、ばかっ////誰が・・・・・////」
「はいはい、分かったわよ」
「〜/////そ、それと今日の昼シャンプーと弁当なんか食ってないかんな!////」
「・・・・え?なんで?」
「なんでって・・・そりゃぁ・・・////・・・!!!////」


ばっっ

乱馬は言おうとした言葉をおさえるように口に手をやった。



「ふ〜ん♪な・る・ほ・ど♪」
「なにがだよっ////」
「別に〜♪早く帰ろっ♪」


あかねは満面の笑顔で乱馬に振り返った。



ぎしっ


もちろん乱馬の顔がさらに赤くなったのは言うまでもない。





--------たった少しの勇気で素直な気持ちを伝えれば、簡単に仲直り出来る。

------------------・・・これからは少し頑張ってみようかな♪






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*管理人コメント*
キリ番取得記念にりぃさんに差し上げた作品です^^
・・最近シャンプーを軸とするお話多いですねぇー・・・(汗
私いっつも偏っちゃうんですよ。
う〜ん・・・やっぱセンスないのよねぇ・・・(涙)
あ、ちなみにムースは初に近いですね♪
シャンプーに対する気持ちは乱馬に負けないぐらい男らしくて、ちょっと惹かれてしまいますv