小せぇよな・・・



「こっこまでおいで〜♪」



「こんのぉ〜・・・・お待ち!乱馬!」





すたたたたたた

朝っぱらから町内に響く2人の声と足音

尋常ではないその足の速さは見るものを圧倒する





「けっ、たかが朝飯1つケチりやがって・・・」

「バカ!あれはねぇ、朝ご飯じゃなくて私のお弁当の具よ!」

「どっちも変わんねぇーじゃねぇか」

「ふっ・・・あんたって人は・・・・・・・!」





と、持っていたカバンを乱馬に投げつけようとした時、聞きなれた声と

チリンチリン・・・・

と鳴る自転車のベルの音が耳に入ってきた





「「も、もしかして・・・・」」



そう漏らした時はすでに遅く、ぐしゃっという鈍い音と共に乱馬の顔に自転車の前輪がめりこむ。





「あいやー!乱馬!朝からこんなとこで会えるなんて、私達やはり結ばれる運命にあるね!」

「・・・・あ゛、あのな〜・・・・・」

「ちょっとシャンプー!朝から何やってんのよ!」





相変わらずの無鉄砲さに呆れつつも怒りを覚えるあかね

すると、こちらもいつものように、乱馬に甘える目から一変して戦闘態勢の目と変わってしまった

「あかね、お前いたのか。乱馬との仲邪魔する、私許さない!」

「べ、別に邪魔なんかしてないわよ!私はねぇ、ただ朝っぱらからいちゃつくのはどうかって言ってんのよ!」

「・・・・・・なら、夕方ならいいのか?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・っ、勝手にすればいいでしょ!」





ふん、っと鼻を鳴らすと、あかねは未だにタイヤが顔にめり込んでいる乱馬を無視してさっさと歩いていってしまった



「ちょ、おい待てよ、あかね!」



ばっと、ようやくタイヤから顔を離すと、乱馬もそれを追うようにして走る

が、それをシャンプーが袖を掴み、拒めた。





「あのなー、シャンプー・・・」

「あんな女、ほっとけばいいね♪それより乱馬、私とこれからデートするよろし♪」





にぱっと満面の笑顔で、ごろごろと懐くシャンプー

本来ならばきっぱりと断るべきところも、この顔にはどうしてもたじろいでしまう





「こ、今度な!そ、それに俺学校行かねぇといけねぇからよ!じゃな!」

「あ、待つね!」





そう、叫ぶシャンプーの静止を何とか不離きり、再び走り始める乱馬





---------------ったく、あかねの野郎・・・また可愛くねぇやきもち妬きやがって・・・・

ぼそっと心の中で呟きながら、乱馬は更にスピードをあげた











少しして、いつもより人が多くなっている道を避けるように、今度はフェンスの上を走り始めた

いわば乱馬のためにあるような「道」

もちろんフェンスの上を走る者など、彼以外(もしくはパンダor玄馬)にはいないので、スイスイと前に進める

と、ようやくして先に行ってしまったあかねを発見した

どうやらまだ相手はこちらに気付いていないらしい





----------------ちょっと脅かしてみっか





すたっとフェンスから降りると、そろりそろりと近付いてゆく

周りからみれば、その行動はかなり怪しいものに違いないが、乱馬は構わず息をひそめるようにしてあかねに近付いた

そしてぴたっと背後に付いた時、ふとあかねを見下ろしてみる

----------------あれ・・・・?こいつ、こんなに・・・・・・・・・・小さかったっけ?

普段フェンスから見下ろす時にはあまり感じることはなかった

が、こうして近くでみると、自分よりもかなり小さいことに気が付く

もちろんそれは背だけではなく、体つきも、手も、何もかも・・・・・・

格闘をやってるだけあって、あかねのオーラからは強くて大きいものを感じるが、等身大のあかねはどことなく、繊細で女らしい一面が見える

こんな体で今まで男共をふっとばしてきたのか・・・・・こんなに細っそりした腕で、体で・・・・

そう思った時、心の中に何か重いものがぐっと圧し掛かってくるのが分かった

まるで今までの自分が・・・・・・





「小せぇよな・・・・」

「え?」





乱馬が「あっ」と声を出したときには、すでにあかねがこちらに気付きびっくりしていた

自分の思いもよらぬ失敗もそうだが、何より何故あんなことを口に出してしまったのかということに、乱馬自身もかなり動揺してしまう





「こんなとこで何やってんのよ?」

「え?」

「だから、シャンプーはどうしたのって聞いてんの!」

「どうしたもこーしたも、俺はなんにもしてねぇーよ。大体あん時だって、おめぇらが勝手に話進めてたんだろ?」

「そ、そんなこと・・・・・」





少ししょぼんと、しょげるあかね

するとポンっと乱馬があかねの頭に手を置いた





「ったく・・・・・・ほんとおめぇ小せぇのな」

けらけらっと笑いながら、再びポンポンっと軽くたたく





「な、なんなのよイキナリ・・・・・」




困惑するあかねに対し、乱馬はお構いなしという感じで笑う





「まっ、少しは早雲おじさんがおめぇの母ちゃんや家族を思う気持ちが分かったかもしんねーなって話だよ」

「はぁ?」

「・・・・・・・あ、もうこんな時間じゃねぇか!ほら、行くぞ!」




パシッとあかねの手を掴むと、一気にまた走り出す



「あ、ちょ、ちょっと!」









始業開始5分前

悪徳校長に校門を閉められまいと、生徒がぞくぞくと走りながら校門をくぐる

その中にも、しっかりと手を握られた2人の姿があった





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*管理人コメント*
「花筐」管理人宮沢凛音さんに相互&お誕生日記念に贈りましたv
実はなんと凛音さんと同じ誕生日なんですよーvv(キャッホー!)
これは何か記念品を贈るしかないと思い、失礼ながら駄文を贈らせて頂きました。
ちなみに乱馬君が言った「小せぇよな・・・」
あれ、私がよく言われるセリフなんですよ(涙)
まぁそのお陰で、こうして1つのお話が生まれた訳ですが・・・
凛音さん、お誕生日おめでとうございますvv