mermaid princessA 「ん・・・・・・」 目を覚ますと見たことのない場所にいた。 記憶が正しければ、自分は海面にいたはず・・・・・。 だが海どころか、空さえ見えない。 見えるのは四角い何かが張られたものだけ。 これが前にお父様から聞いた「テンジョー」というものなんだろうか・・・・・・? そして自分を包み込む暖かいふかふかしたもの。 見るもの、感じるものすべてが新しかった。 「ここは・・・・・」 「よう、起きたのか?」 はっと横を向くと自分と同じぐらいの歳のおさげ髪を持った男の子が隣に座っていた。 「!」 思わず起き上がろうとする。 だが、体にうまく力が入らない。 それどころか、起き上がろうとして失敗したため、すぐふかふかしたものに叩き付けられた。 「キャっ」 「バカっ、さっきまで溺れてた人間がすぐ起き上がれる訳ねぇーだろっ・・・・・ったく今は何も気にしないではゆっくり寝てろっ」 「あ、あの・・・・ここは?」 「あ?ここか?ここは俺ん家。まぁ家っつってもみんなは「城」っていうけどな」 「シロ・・・・・・?」 シロ・・・確か前に誰かが話していたのを聞いたことがある。 海から人間達が住む土地を見ると、まず1番最初に見える大きな建物。 そしてそこにはその土地で1番偉い者が住むらしい・・・・と。 「じゃああなたは1番偉いの?」 「頼むからあなたって言うのやめてくれよ!俺はランマ!それに別に城に住んでるからって偉くなんかねぇーよ!偉いのは俺の親父。ま、俺もいつかはなるかもな♪」 「へぇ〜・・・・そうなんだ〜・・・・・・」 「ところで俺のことばっか聞いてるけど、そういうお前は誰なんだよ?」 「私は・・・・・アカネ・・・・・・・・」 「へぇ〜アカネっつーのか。んで?どっから来たんだ?」 「・・・・海・・・・・・・海から来たの・・・」 「んまぁ、溺れてたんだから海だろうけど・・・・ってそうじゃなくて!どこの者かって聞いてんだよ!」 「だ、だから!海の中から来たの!」 「お前なぁ〜・・・・・・」 ランマは思わずはぁ〜・・とため息をついた。 が、アカネの方は何で分かってくれないのかが分からず、ただただ顔を横にかしげることしか出来なかった。 「・・・・悪ぃ、いきなり病人にこんなことずかずかと聞くもんじゃねぇよな。ゴメン・・・・。。まぁ別に追い出したりしねぇからゆっくりしてけよ」 にっと笑うと、ランマは部屋を後にした。 「あ・・・ちょっ・・・・・・・・・・もう、何で本当のことを言ったのに分からないの?人間って分からずやなのかしらっ」 誰もいない部屋でぷいっと顔をそむけるアカネ。 と、まだ慣れない"人間の足"の感触と共に、最後のコーチョーの言葉を思い出した。 「そういえば、コーチョーって人魚が手紙足に貼っといたって言ってたわね・・・・・」 まだ見慣れない足から必死に手紙を探すあかね。 すると足の裏に1枚の紙きれを見つけた。 「まったく・・こんなとこに貼らなくても・・・・・・・で、何が書いてあるのかな♪」 ぺらっと見ると、そこには3つの注意書きみたいなものが書いてある。 ーーーーーーーーーDEARミス,アカネ Oh!この手紙を見れたということは、溺れずにすんだのでーすねー!! 私それだけ心配してまーしタ!! それでーは、今からmeが言う3つのこと、必ーず守って下さーいね!!!!!! 1:あなたが海から来たというコート!人間には絶対言ってはダメデース!!元の姿に戻ってしまいマース!人間は人魚は大変珍しがりまーすので、あなた殺されてしまうハズ 2:あなたその足でいる限り、海入れませーン。もし入った場合は確実にあなた溺れまーす!!正し!1度だけ「イーシャンテン」と言えば戻れマースよ!ただ・・・・2度と陸にあがれなくなるどころか、海面にさえ出られなくなーりますが・・・・・・・・ 3:あなた1週間以内に城の1番偉い人・・・・・殺してきてくださーい・・・。。出なければ、meの呪いであなた死んでしまいまーす・・・・ では!私必ず1週間後あなたの元へ現れまーす!!!! それまで十分楽しんできて下さーい!!!!!!!!! コーチョーより 「な、なんなのよ・・・これは・・・・・」 1通り読み終えたアカネは、予期せぬ言葉に顔を青ざめさせてしまった。 「最初の2つは守れるにしても・・・・・・・・最後の1つ・・・・・・・・私が・・・・罪もない人間を・・・・・殺す?」 まだ1度も会っていない人間を殺さなければならない・・・・・・・・しかも何も罪がないのに・・・・・・。 手紙を持つアカネの手はガタガタと震えていた。 こんなことなら来るんじゃなかったと、アカネは初めて後悔した。 「お父様・・・・・・・・お姉様・・・・・Pちゃん・・・・・・・・・・・・・」 ぽた、ぽたっとベットに流れ落ちる一人の人魚姫の涙。 それはあまりの悲しみと寂しさが入り混じった涙だった。 「・・・あれ?私また寝ちゃって・・・・・・・・・・・・・・・」 あれから何分・・・いや何時間がたったのだろうか・・・・・あたりはすっかり暗くなっていた。 だがアカネの頭にあるのはあの手紙の内容だけ。 無意識の内にまた体が震えてくる。 と、その時がちゃっとドアが開いた。 「おい!夕飯が出来たみてぇだからお前も一緒に・・・・・ってお前大丈夫か?!顔真っ青だぞ?!」 ランマだ。 「え?・・えぇ・・・・・・・・・・あの・・それより夕飯って・・・・・」 「あ、あぁ・・俺の親父とお袋にお前の事話したら、ぜひ一緒に飯食いたいって言ってよ!・・・・お前・・・嫌か・・?」 子供のように寂しそうな目でアカネを見るランマ。 その表情にアカネも断れるはずがない。 「う、ううん。喜んで!!私もお礼を言わなきゃならないし・・・・・・・。それに・・・・・・」 「それに?」 「・・・・・・・・・・・・・・」 「アカネ?」 「あ、ゴメン。なんでもないわ♪」 「じゃああのタンスに服入ってるからどれでも好きなの着ろよ!俺ドアの向こうで待ってっから、着替え終わったら出てきてくれ」 「う、うん・・・・・」 そういうとランマはちょっと嬉しそうに部屋を後にした。 (そう・・・・私は会わなきゃ・・・・・・ランマの・・・・・ランマのお父さんに・・・・・・・・・・。。 私が・・・・・・・殺すべき相手・・・・・・・・・) --------------Bへ --------------------------------------------------------------------------------- *管理人コメント* なんんだか自分でもびっくりするような展開になってしまいました^^; ・・にしても乱馬君、乱馬なんだけど乱馬じゃない気がするのは私だけ?(汗 |