キミと未来




「アスランってさ、たまには感情のままに動いてみようとか思わないの?」

「・・・・・・・は?」









イキナリ何を言い出すんだ、こいつは・・・。
訳が分からない、といった眼差しで自分の親友を見ると、逆に相手から重いため息がもれた。
だから何でお前がため息をつくんだよ!
そう言おうと思っても、相手の飽きれられた表情を見せ付けられては、それすらなかなか言い出せない。
と、いまいち反応が鈍いアスランを見て諦めたのか、キラはゆっくり言葉を選びながら口を開いた。


「んー、だからね。確かに先の事を考えるってことはものすごーく大事だと思うんだけどさ。君の場合、それが人よりも度が越えてるから逆に結果として難しいことになるんだと思うんだよね。」
「だから?」
「うん、だからたまには感情のままに行動してみるのもいいんじゃないかなー、って。」


ね?と、笑顔で提案してくる親友は無邪気で純粋に、そして悪魔のように見えた。
自分が感情的に・・・?
今、自分が思っていることそのままに行動してみたら・・・?
そんなことをしたら、絶対目の前の相手に殺されるに決まってる。
それを分かっていて、コイツはこんなことを言ってきたのだろうか?
たまに見えなくなるキラの本心にとまどいを覚えつつ、話を適当に終わらせると、アスランは部屋を後にした。














トントントン・・・・・。
部屋に響く、苛立ちのこもった指の音。

「あー・・・・・もう、くそっ」

自室に戻った後も、アスランの頭の中は先程のキラの言葉でいっぱいになっていた。
いくら気分を紛らわそうとしてパソコンに向かっても、結局は机に肘を立てて指をもて遊ぶだけ。
さっきからずっとそんな状態だ。
-----------------自分の感情のままに。。
それが出来ない自分を何度情けないと思っただろう。
届こうと思えば届ける距離なのに。触れようと思えば触れられるのに。
だけどそんな自分にいつも"理性"という堅物が、まさに正論と言うべき理論をぶつけてきた。
自分はあのパトリック・ザラの息子のアスラン・ザラで、彼女はオーブの代表で。
感情のままに彼女に触れるなど、たとえお天道様が許しても、あの最強のコーディネーターが許すはずもない。
自分の気持ちがどう向かってるかなんて・・・・はっきり分かっているのに。。
考えれば考える程もんもんとする、だけど考えずにはいられない。
そんな悪循環の中でうなだれるアスランに、突然訪問を示す通信回線が開いた。



「おいアスラン!私だ、カガリだ!入るぞ!」
「え?カガ・・・おい、待っ・・!」



ガタンと、アスランが反射的に勢いよく立つと、すでにカガリは部屋のドアを開けて入ってきていた。
普通なら相手の了承を得てから、部屋に入るのがマナーというものだが、カガリの前ではただのめんどうな事でしかなくなってしまう。
多少そんな彼女の荒っぽい性格には慣れたつもりだが、今の自分にとってはかなり都合が悪い。
が、カガリはというと、そんなアスランを特別気にする訳もなく、どかっとベットの上に座った。


「今日はさ、お前にMSの性能についてまた少し聞いとこうと思ったんだ。戦争は終わったけど、まだまだ微調整の段階だし。」
「あ、あぁ。それはいいが、とりあえず今コーヒーでもいれて・・・」
「いいよ、そんなの気にしなくても別に。いいからお前もここに座れ。」


そう言ってポンポンとカガリが叩くのは、紛れもなく彼女が今座っているベット。
つまり自分の隣りに座れと、そういうことなのだ。
もちろん、彼女に下心などというものは一切ない。
ベット=ただの座り心地のいいもの、きっとカガリにはそういう風にしか映らないのだろう。
しかし、残念ながら自分は違う。
これでも16の男が、好きな子と部屋で2人きり・・・なんてシチュエーションに遭遇したら、逆に緊張しない方がおかしいんじゃないか?
・・・相手が意識ゼロと分かってる分、余計複雑な気持ちになるのだが。


「え、お、俺はいいよ、別にこのままでも。」

・・・これ以上近付いたらマズイ。。
ここぞとばかりにお馴染みの"理性"が判断し、アスランを冷静に冷静にと向かわせる。
しかし、


「いいから座れって!」
「ちょっ・・カガリ・・・!」


乱暴で素直で純粋で・・・そんなオーブの姫の前の行動には、この堅物も敵わなかった。




どすん。





カガリに無理やりひっぱられたアスランはバランスを崩し。
思いのほか力強く引っ張ったカガリは、自身の勢いにバランスを崩し。
2人はベットの上で、アスランが覆い被さるように倒れこんだ。







「・・・ってて・・・・」



一瞬の衝撃にとまどいつつ、ゆっくりと体を起こすと、自分の目に飛び込んできた映像に更なる衝撃を受けた。
カガリの華奢な体・健康的な肌・長いまつ毛、そして柔らかそうな唇・・・・。
いつもは遠くでしか見られなかったそれらが、今こうして間近にある。
触れられたくても触れられなかった。
"彼女を傷つけたくない"という自分の"自己満足"の結果にうな垂れてばかりだった。
けど今は・・・・。。









「アスラ・・・・んっ?!」



カガリは一瞬、何が起こったのか分からないでいた。
アスランを引っ張って、バランスを崩して倒れこんで、それからそれから・・・・。
気がついたら、目の前にアスランの顔。
そして今、唇に感じる温かいもの・・・・これって・・・。
はっと、ようやく気が付いたカガリは、一瞬にして固まってしまった。
それに気が付いたのか、ようやくアスランもカガリの唇から離れる。



「・・・カガリ、耳まで真っ赤。」
「あ、当たり前だ!バカっ。その・・・人が倒れた時に・・き、キスなんて・・・」
「倒したのはカガリだろ?」
「それはっ・・・・・」



ただの事故だ・・・!
かっと熱くなったカガリの口から出るはずだったその言葉は、再びアスランのキスによって行き場を無くしてしまった。
・・・先程よりも甘くて深い、とろけそうなキスによって。
こんなこと生まれて初めてのはずなのに、・・・なのに体が知っている。求めている。
そんな不思議な感覚にとまどいつつも、アスランはその甘い一時に酔いしれていった。

「・・・カガリ・・・。」
改めて彼女の瞳を見ると、先程の勝気な眼差しは消え、まどろんでいる。
この甘い行為に一生懸命答えようとしてくれる、そんな彼女が愛しくてしょうがなかった。











最初はせめてもの罪滅ぼしになるならと、愛機と共にこの身を焼こうともしたけれど。
今では彼女を抱きとめ、確かめるように心臓の鼓動を彼女と共に感じている。
額、耳、首筋・・・・それらに唇を這わせ、印を刻んでいくと、
「んっ・・・」
呼応したように彼女の甘ったるい吐息と温もりが、更に"理性"を頭の置くへと追いやった。
飾り気の多い彼女の服のボタンの取り外し、脱がすと、今度は首筋からその下へと唇を移す。
最初こそ抵抗はあったものの、先程発見した彼女の弱い部分"耳"を舐めると、色っぽい反応と共に抵抗がなくなった。

「・・・お・・まえ、ズルイぞ。人の弱いとこ・・ばっかり・・・」
「じゃあカガリも見つければいいさ、俺の弱いところ。」


・・・弱いところ。
そんなもの、アスラン自身とっくに分かっていた。
彼女の全て、彼女こそが自分の弱みなのだと。



「・・・・・そんな隙、見せないだろ・・・。お前は・・・」
ぷいっと、横を向くカガリに、
「・・・分かってるじゃないか。」
いたずらっぽい笑みをもらすと、カガリはまた不満そうに唇を尖らせた。
そんな彼女を可愛い、と思いつつ更にアスランは甘い行為を重ねていく。
彼女の最後の砦とも言える、タンクトップの下に手を忍ばすと、下着と一緒に引き上げた。
「ちょ・・・あっ・・・んっ」
カガリの抵抗する暇さえ与えないまま、アスランはうっすらピンク色に高揚した胸に、唇で手で舌で・・・優しく愛撫した。







「やだっ・・・んっ・・・・あんっ」
「・・・カガリ、すごく綺麗・・・・」









止まらないこのキモチ。




止まらない彼女と自身の荒い吐息。






やがて、片方の手で器用にカガリのズボンの留め金を外し、自身の服も脱ぎ捨てると・・・。
互いに確認し合うように、優しいキスと瞳を見つめ合うのを繰り返した後、2人は1つになった。





「カガ・・・リっ・・・。俺の目・・・見てて・・」

「んっ。・・・アス・・・らんっ・・・。」


初めてのことに痛みをこらえているのは、今握っているカガリの手から容易に想像がついた。
正直アスランもアスランで、上手く調整が出来る程の余裕はない。
そこで途中カガリにこれ以上はやめるか?と訪ねたが、すぐにふるふると首を横に振られてしまった。
・・・・きっと彼女も、それだけ半端な気持ちで受け止めてくれていない、ということなのだろう。
ならば自分は、その彼女に今出来るだけのことをするしかない。



「・・カガリっ・・・もう少しだから・・・頑張って・・」

力無くこくん、と頷いたカガリを確認すると、アスランは更にその思いをカガリの体に打ち付けた。
部屋に聞こえるのは、ベットがきしむ音と互いの甘い声、そして少し淫らな音だけ。
だが確かに、2人の中でまた新しい何かが生まれていた。



「・・・・んっ・・あっ・・・アス・・ランっ」
「カガリっ・・・・カガリっ・・・」



自然と互いの名を呼びあい、握り合っていた手を更に強く握ると、二人はそのままベットの上に力尽きた。



















「・・・・・カガリ。」



ん、と目を覚ますと、再びアスランの顔が間近に見えた。
反射的にびくっとすると、アスランはあの優しい表情のまま頭を撫で、額に軽いキスをしてくれた。
最初はアスランのいきなりの行動にびっくりしたけど・・・・それよりも驚いたのは自分自身。
いつかはこういう日も来るんじゃないかって・・・そう分かってた気がする。

「ゴメン、痛かったよな?」
「バカにするな、これでもそこら辺の男よりは我慢強いんだぞ?・・・それに・・・」
「・・・それに?」
「嬉しかった、また1つお前のことを知れた気がして・・・」
「カガリ・・・」


そう、自分達はまだ知らな過ぎる。
互いのことも。自分自身のことも。
なら知ればいい、戦いのないこの静かな時間の中で。

ぎゅっとカガリを抱きしめると、カガリもおずおずとその細い腕をアスランの背中に回した。
ここに自分がいる、君がいる。
そして自分達には明日があるんだ、と。
まるで確かめ合うように、2人は互いの温度を感じ続けた。












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*管理人コメント*
初めて指定ものを書いたんですけど・・・。
うーん・・・やっぱりこっ恥ずかしいですね(笑)
しかも自分でR16と設定しておきながら、どこまで書いていいのか分からなくなりました。
とりあえず、目指したいのは「性描写はあっても、きちんと形のあるものしたい」ってこと。
ただの性描写が目的なら、わざわざR16になんかしません(爆)
まぁその性描写自体もすごい難しいんですけど。
指定ものは指定ものでも、結局は中身は私がいつも書いてるものと同じになると思います^^;