誰もが最初(はじめ)から・・・
「もう料理なんかしないから。安心していいよ、乱馬。」
あかねは笑顔を浮かべそう言い、階段を駆け上って自室へと閉じ篭ってしまった。
あいつのマズイ手料理から逃げるのはいつもの事。そんな気にすることじゃねぇよなぁ?
俺の頭の中は疑問だらけだった。
さっきあかねが見せたあの笑顔。普通の男なら一発でノックアウトしてしまいそうなあの笑顔。
でも…さっきのは…出会った頃のあいつが東風先生に向けていたような…無理して“つくられた”笑顔…。
そう考えると胸がズキズキと痛んだ。
やっぱ俺が…悪いの…か?
―― 一方あかねの部屋 ――
あかねは1人机の上で泣きじゃぐっていた。
(どうして…?あたしじゃ乱馬が満足してくれるような料理はできないの…?
そりゃぁかすみお姉ちゃんのみたいにおいしそうじゃないかもしれないけど…)
「はぁ…」
あかねは顔を上げて深い深い溜息をついた。
(それでも…一生懸命…作ったんだけど…な…)
その時、俺はあかねの部屋の前に立っていた。あかねが泣いているのがわかって、正直相当あせった。
でも俺は意を決してあかねの部屋のドアを叩いた。
「あかねっ、入るぞ。」
「え、あ、」
あかねが最後まで言う前に、俺はドアを開け部屋へと入っていてた。
あかねはさっと涙を拭った。俺に泣いている姿を見られたくなかったのだろう。
「あのさ…」
俺が言葉を言いかけた時、あかねは俺の言葉を打ち消すように冷ややかに言った。
「別に謝ってくれなくったっていいわよ。もう料理なんてしないから。」
「え…」
俺は何て言ったらいいかわからなかった。
「かすみお姉ちゃんみたいに上手くできるわけないもんね。あたしなんか。」
あかねはそう言うと、またさっきのつくられた笑顔を俺に向けた。
「ばっ馬鹿野朗っ!!」
俺は何も考えずにそう叫んだ。
あかねはとても驚いたようにきょとんとした顔をした。
「誰もが最初からなんでも上手くできるわけじゃねぇだろっ!!
人間ってのは何回も失敗してその分上手くなっていくんじゃねぇのかよっ!!」
「そりゃ…そうかもしれないけど…」
あかねは俯いたまま呟くように言った。
「でもあたしだって、辛いんだもんっっ!みんながあたしの作った料理から逃げて…そんな姿見るの辛いんだもんっ!」
…やっぱ俺の言ったことのせいで傷付いてんのか…。
「…ゴメンな…。」
俺は素直に謝った(つもりだった)。
あかねは黙ったままだった。
「これからは俺が食ってやるからっ…だから無理して笑うなっ!!」
俺がそう言うとあかねは小さな声で
「へっ?」と言った。
「そっそれからっ…き、今日の料理…けっ結構うまかったぞっ!!じゃあなっ!!」
俺はそう言うとさっさとあかねの部屋を後にした。
これ以上あかねと2人でいると、もう自分が何を口走るかわかったもんじゃない。
その後あかねは下に下りてきて、空っぽになった鍋を驚いたようにしばらく見ていた。
俺が全部食ってやったんだから空で当たり前だろ?
………とカッコ良く言ってはみたものの、胃が壊れる覚悟はぐれぇはしておかねぇとなぁ………
―――終―――
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*管理人コメント*
コメットさんから投稿小説として頂きましたvv
乱馬君視点ですね♪
くぁ〜!!!!!!////////
2人共素直で初々しいv
乱馬君ってなんだかんだいっても結局はあかねちゃんの料理を食べるすごい奴。
あかねちゃんってなんだかんだいっても爆発的マOイ料理を作るすごい女の子(笑)
でも通じてるところがあって、それはお互い好きだからやってることなんですよね♪
そんな2人を見てると羨ましくて仕方がありません/////
コメットさん、こんな可愛いらしい+上手い小説ありがとうございました☆★
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