小さなサンタクロースさん



「何よ…乱馬のバカ…」
あたしはまたこの言葉を布団の中で呟く。
これで何度目だろう。もう自分でもわかんない。

乱馬はいつものようにシャンプーや右京、小太刀に追い回されて、今現在帰ってきていない。
「せっかく用意したのに…」
あたしはそう言って目の前に転がっている箱をつついた。
箱はきれいな緑の包装紙でラッピングされていて、赤いリボンがかけられていた。
『Marry Xmas 乱馬』
青いペンで書いたカードがぐちゃぐちゃになってとなりに転がっている。

いつまでも優柔不断な乱馬に腹を立てたあたしは、また乱馬と喧嘩してしまった。
いつもの口喧嘩に違いはなかったけど、今日は年に1度のクリスマスイヴなのに…  
今日はもう早く寝よう
あたしはそう思って早めに床についたんだけど、眠れるわけもなかった。
「乱馬のバカ…」
あたしはまた呟く。
あたしがこんなに待ってるのに…乱馬ったら今どこにいるのよ!?!
そんな想いを頭に巡らせているとき、フワっと窓のカーテンがふくらんだ。
もし乱馬が窓から入ってきてもいいように、さっき鍵を開けておいたあたしの部屋の窓。
 まさか…乱馬…? 窓が少しだけ開き、その隙間から誰かが入ってくる。
 乱馬…?それともサンタクロース…?
その時、入ってきた人影がおさげ髪であることにあたしは気付いた。
ほっとした反面、乱馬に対する苛立ちがこみ上げてくる。
 今までどこにいたのよっっ!?
そんな言葉が飛び出しそうになる。ホントは帰ってきてくれて嬉しいくせに…
 ……だめ、このままだとまた喧嘩しちゃいそう…… あたしはそう思うと寝たふりをした。
もうこんな遅い時間だもん、寝ててもおかしくないよね。
「あかね」
乱馬があたしを呼ぶ。あたしは声を出したいのをグっとこらえた。
「…なんでぇっ。寝ちまったのか…」
乱馬は1人でぶつぶつと何かをぼやいている。
 なによ。こんな遅くまで帰ってこないあんたが悪いんじゃない。
「(ってことはだなぁ、俺がしゃべってもあかねには聞こえねぇ…よな///)」
 なによ、乱馬のバカ。入ってきたなら早く用件を言いなさいよっ///
などと思いながらもあたしの心臓はドキドキ言いっぱなし。
「今日は だなぁ、その…悪かったな。遅くなっちまって…」
 妙に素直ね…こいつ、ホントにあたしが寝てると思ってるんだわ…。
「シャンプーやうっちゃんや小太刀をまくので精一杯だったんだよ。あいつらもいつもよりしつこかったし… べっ別におめーの事忘れてたってワケじゃねーんだからなっっ////」
 乱馬……
「あ・あと…ちょっと汚れちまったけど…これ…」
乱馬は懐から小さめの箱を取り出した。赤い包装紙で綺麗にラッピングされた箱。
「メリークリスマス、あかね」
乱馬はそう言うと、また窓から帰っていった。
あたしは乱馬が置いていった箱を握りしめた。まだ少しあったかい。
「ありがと…乱馬…」

あしたは乱馬とどこかへ行こう。
あたしのプレゼントも渡さなきゃなんないし…

メリークリスマス、あたしの小さなサンタクロースさん。









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*管理人コメント*
コメットさんから投稿小説として頂きましたvvvv
「小さなサンタクロースさん」・・・可愛いですねぇー///////
しかもきっと赤いチャイナ服を着てたらまさしくサンタさんそのものvvvv^^
やっぱりこの世の中にサンタさんはいるんですね(笑)
でもそしたら乱馬君の場合しょっちゅう(?)夜にあかねちゃんの窓から部屋に侵入してるから年に1度の・・・って訳じゃないかもですけど☆(爆
きっと乱馬君なりの考えがあってのことだと思いますが^^
私にとっても最高のクリスマスプレゼントになりましたvvvv
コメットさん、ありがとうございます〜^^