フェンスの上と下
「おっ!ラッキー♪雨やんでるっ!」
授業が終わった後、乱馬は窓から外を見てガッツポーズをしていた。
今日は朝からずっと雨が降ったりやんだりしていたから。
あたしはカバンに教科書を詰める手を止め、ぼーっと乱馬の方を見ていた。
最近また背が高くなったような気がするんだよね…
「あかね、帰ろうぜ。」
乱馬が急にこっちを振り向いたから、あたしは一瞬ドキッとして急いでカバンに教科書を詰め込んだ。
「うっ、うんっ。」
あたしはあわてて片手をポケットに突っ込み歩いてく乱馬の後姿を追った。
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いつもの道をいつものように、乱馬はフェンスの上をあたしはその下を、並んで歩く。
乱馬の足元、フェンスの上はまだ雨が乾いていなく、太陽の光を反射してキラキラと光っていた。
「乱馬。」
あたしは微妙な沈黙を破って乱馬を呼んだ。
「ぁんだよ?」
いつもの返事が返ってくる。
「‥フェンスの上と下ってさ、見える景色とか…違う?」
乱馬は一瞬ぽかんと口を開けた。
「急に何言ってんだ?」
「ん…別に…ちょっと気になっただけよっ。」
あの時もあの時もあの時もいつも…あの時だってあの時だって、いつも乱馬はフェンスの上、あたしはその下…
乱馬がずっとフェンスの上を歩くのはなにか理由があるのかなぁ…。
「そりゃぁ見える景色とかもちげーけど…」
乱馬が言い終えると同時にあたしは乱馬の前にまわってフェンスに手をかけた。
よっ と体を持ち上げてフェンスの上に重心を移す。
「お、おいっあかねっ あぶねぇぞっ!!」
後ろから乱馬の声が聞こえる。
あたしは振り返らずに
「平気よ。」
とだけ短く言った。
「うわぁっ…」
あたしはフェンスの上に立ち上がると無意識のうちに声がもれた。
「‥すごいっ…。」
いつもと数メートル違うだけのはずなのに、フェンスの上には全然違う景色が広がっている。
周りの全てが開放的に見えて、空にも手が届きそうな気がした。
これなら乱馬がいつもフェンスの上を歩きたい気持ちもわかるな…
あたしは少しずつ足を前に進めてフェンスの上を歩いた。
…その時、足がつるっと滑ったと思うと体がぐらっとかたむいた。
「あぶねぇっ!!」
乱馬の声が聞こえた次の瞬間、あたしは乱馬の腕の中にすっぽりとおさまった。
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「ふぅっ。」
あたしは乱馬の腕の中で、乱馬の小さな溜息を聞いた。
「あのっ/////ごめ‥」
あたしが途中まで言うと乱馬は言葉を遮るように、ぎゅっと腕に力を入れた。
「乱馬っ…?/////」
「気をつけろよなっ///バカっ。」
乱馬はそう言うとすっと立ち上がってすたすたと歩き出した。
「早く帰ーるぞっ/////」
少し離れた所で乱馬が叫んでる。
「あ・ちょっと乱馬っ!バカって何よっ!!」
あたしは乱馬の所へ走った。
いつもと同じいつもの道、でも今日は少し違う2人の距離。
あたしたちは手をつないだ。
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*管理人コメント*
コメットさんから我が家の30000hitのお祝いに戴きましたvv
・・・ある意味この「小さなハート」を支えてくださってるコメットさん(涙)
いつもいつも本当にありがとうございます(T□T)
フェンス・・・この「らんま1/2」・・しかも乱Xあには欠かせない場所ですよね♪
あかねちゃんが乗ってるとこは1度も見た事がないんですが、
このお話のように私達の見てないとこで2人仲良くフェンスの上を歩いてるのかもしれませんね(^^)
素敵な小説ありがとうございました☆★
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