たとえばあなたが私の空


「乱馬ー入るわよー」

適当に声をかけて私は乱馬の部屋に入った。

片手には数日前にあいつから借りたマンガ。

マンガなんて基本的には読まないんだけど、

たまには暇だから読んでみようかと思ったら見事にはまった。

それで、続きを借りようと思って部屋に来たんだけど・・・



「乱馬?寝てるの?」

パンダ姿のおじさまと一緒におなかを出して眠ってる。

それはそれは、戦闘中の凛々しい態度とはうって変わってバカっ面。

コイツが自分の許嫁だと思うと情けなるし、それでも乱馬が好きな自分がアホに思える。

でも仕方ない。気づいてしまったから。自分の気持ちに。



乱馬の横にしゃがみこんでみる。

起きないかな?やっぱり勝手にマンガを借りていくのは気が引けるわよね。

てか、この部屋の何処にあるかなんて想像付かないし。

押入あたりが怪しいけれど、開けたら何がふってくるかもわからない。

やっぱり怖いから結局乱馬が目を覚ますまで行動できない。



でも、乱馬は一向に起きそうになかった。

無理矢理起こすのも悪いし、今は諦めよう。

そう思って乱馬の脇に借りていたマンガを置いておいた。

そして、あいつの足元に蹴り飛ばされていた布団を

腹丸出しにしてる馬鹿な許嫁にかける。

「まったく。こんのバカは風邪引いても知らないんだからね。」

いつもの調子で悪態を付いた。

「風邪、ひかないでよね。おやすみ」

乱馬が寝ているから・・・だから素直な言葉が出た。

でもやっぱり恥ずかしくって私は逃げるようにその場を去った。







「実は起きてたりして・・・」

俺はあかねがいなくなったことを確認して起きあがる。

「ったく、誰がバカだよ誰が」

先程の悪態を思い出し、むかっとする。

「・・・普段からアレくらい素直に物を言えってんだ!」



お互い様。そんな自分に理不尽になる言葉は乱馬の頭の中には無かった。







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*管理人コメント*
「花ざかり」管理人幻桜みちさんから我が家の1周年記念に戴きましたーv
まだ2人が素直になれない時期のお話。
まるで綱引きのように引っ張ったり、引っ張られたり。
気になったり気に掛けられたりの2人(^^)
やっぱりいいですねぇ〜vこういう乱Xあ☆
思わずふふっと笑いたくなっちゃう駆け引き。
可愛いお祝い小説、ありがとうございましたーv