いや、お前に見惚れてた



「何よ。さっきからじろじろと…。」


あたしは、ずっと、あたしの顔から目をそらさない乱馬に、声をかけた。

「あたしの顔、何かついてる?」

あたしは、思わず自分の顔を手で触れてみる。



「いや…お前に見惚れてた。」



相も変わらず、あたしから目をそらさない乱馬が、そんなことを口走る。


「…そんなこと言って、どうせまた宿題でも見せてもらおうと思ってるんでしょ。」



あたしが、鋭くつっこむ。




すると、


「・・・バレたか。」


舌を少し出した乱馬が、机に腰掛けた。


「しょうがないわねぇ。」


あたしは、仕方なく、宿題のノートを手渡す。


「さんきゅ。」


そう言うと、乱馬はせっせと宿題を写しはじめた。



「だけど…。」



机に向かったまま、乱馬がぽつりと話しだす。



「おまえに見惚れてたのは、本当だぜ。」



あたしの心臓が、一瞬にして高鳴った。



「な、何言ってんのよ。さっさと写しちゃいなさいよ。」



嬉しい気持ちを押し退けて、あたしは乱馬に叫ぶ。



「へいへい。」



…もう。いきなりそんなこと言うなんて、反則よ。



あたしは、笑顔で、乱馬の背中を見つめていた。





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*管理人コメント*
「僕だけの女神」管理人吉見舞さんから我が家の1周年記念に頂きましたv
日常の中の日常の風景
まさに私が大好きな乱Xあの形♪
乱馬の反則行為は今に始まったことじゃないですが(笑)、その度にあかねちゃんの心を揺さぶるんですよね
ちょっとしたことでドキドキしたり悩んだり・・・・
でもそれは乱馬も一緒。
ちょっとしたことでクラクラしたりヤキモチやいたり。
よっしーちゃんの作品はそういう身近な点を捉えていてとても好きですv
お祝い小説、ありがとうございましたー(^^)